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2006/1/13 留学の際の学校選び
2006/1/13 留学の際の学校選び_e0087035_14272362.jpgこのブログはこれから留学を考えている方々にもたくさん読んでいただいているので、今日は学校選びについてここに来てから思ったことを、特にNYの学校との比較で少し述べてみたい(完全に私見ですので、反対意見にも是非耳を傾けてみてください。)。

私はそもそもNYの大学に出願しなかった。その理由は、①NYの大学は授業が大人数でFacultyとの交流が薄い、②NYの大学は、学生間の交流が少なく、特に日本人はほとんど日本人としか交流する機会がないらしい、③②とも関係するが、NYの大学は日本人だけで40人くらいいて多すぎる、④NYのロースクール卒の日本人は山のようにいるので希少価値がない、⑤NYは生活環境がよくない(家賃が高い、テロの危険、外国人が多すぎて「アメリカ」らしくない、牛丼屋・TSUTAYAなど日本のものが多すぎて外国生活にならない等々)、⑥NYに行く機会はいくらでもあるのでせっかくなら違う都市に住んでみたい、などである。

他方、シカゴは上記①から⑥の裏返しだろうというのが当初の予想であった。それで実際にシカゴで数ヶ月過ごしてみてどう意見が変わったか。

その通りだったのは、①、②、⑤である。シカゴでは、
 ①授業は最大のクラスでも150人程度、普通のクラスなら20人から50人程度なのでどの教授も大体生徒の顔を覚えているし、LLM生と教授のランチ会などもあって教授へのアクセスはとてもよい。
 ②学生間の交流は多すぎて勉強に支障が出るくらいである。まず、LLM生50人の間には連帯感のようなものがあってみな仲良しである。法曹の方であれば同じ実務修習地で修習をしているメンバーといった感覚に近い。その結果必然的に外人と一緒にいることになるので学期中は英語を話している時間の方が長いという(日本人留学生としては多分珍しい)経験をすることができる。それから、学校が積極的にJDとLLMの融和政策を取っていることもあって、JDともそれなりに交流する機会が多い。JDもLLM生に対して興味があるようで、一度親しくなると色々お誘いをしてくれる。
 ⑤シカゴの街は最高である(街はきれい、ミシガン湖が美しい、高層ビル建築で有名なだけあってビルが美しい、道が広々、人もぴりぴりしていない、テロは起こりそうにない、ダウンタウンは安全等々)。 

ちょっと予想と違ったのは、③、④、⑥である。
 ③今年は日本人が例外的に多くLLM60人中日本人は10人もいる(去年もおととしも各4人)。ただ、今年もアジアという目で見ると14人しかいないのでLLMの中ではやっぱり少数派である(他に多い国は、ブラジル、スイス)。なお、去年は若干日本人を取りすぎたとの認識があるようで、今年はもう少し減ると思われる。
 ④確かに希少価値はあるが、この希少価値に果たして「価値」はあるのだろうか。逆に言うとネットワークは小さいということなので、マイナスかもしれない。
 ⑥意外とこちらに来てからまだ一度もNYに行ってない。まあでもきっとそのうち行くだろう。

これらに加えて、見落としていたことを何個か気づいた。

まず、ビジネス法の分野で大物教授の授業やゼミを受けられるNYの大学はうらやましい。いかに多彩なゼミや授業があって、それらを有名な教授が教えており、また各界の有名人らが頻繁に講演に来るかについてはNYの学校に行っている方々のblogを参照されるとよく分かる。これに比べると、シカゴはJDを入れても少人数制の学校なので、Facultyの人数も授業やゼミの数も少なく、それに加えてもともとAcademicな学校なのでビジネス法の授業やゼミは比較的充実してない(たとえば、「M&A」ゼミは1年おきなのでたとえば私の年には受けられない。)。なお、誤解を避けるために補足すると、シカゴのFacultyのレベルは非常に高い。例えば、7th CircuitのChief JudgeであったR.Posner教授、同じく7th CircuitのEasterbrook教授、司法省のAntitrust DivisionにいたWood教授をはじめ元裁判官の有名教授や租税法の世界で有名なIsenberg教授など名物教授は多いので、面白い授業を受けることはできる。ただ、Corporation Lawの分野については層が薄いと言わざるを得ない。

次に、日本人が少ないのと街に日本のものが少ないのは、楽じゃないということ。やっぱり何かと学校生活で困ることも多いので、気安くつきあえる日本人がたくさんいるのはいいことだし、アメリカにいるのに、日本のテレビを見れたり、あらゆる和食が気軽に食べられる環境は非常にうらやましい。シカゴにもミツワという日本食スーパーはあるのだが、ダウンタウンから車で1時間以上かかるのでそう頻繁に行くことはできないし、和食についても、和食屋はあるもののアメリカナイズされたヘンな店ばっかりで、和食シックにかかりがちである。

以上のように色々と良し悪しがあるのですが、結局は自分が留学して何をしたいかによるのだと思います。もしその目標が、インターナショナルな環境の中で、なるべくアメリカのLaw Studentと近い勉強・生活をするということであるならば、シカゴはおすすめです。ということで、色々な人の話を聞いて自分の留学の目標と相談しながらよく考えましょう。

※ 写真はミシガン湖上から見たシカゴのSkyline。
by ilovemascarponeR | 2006-01-13 14:10 | School Life
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