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Structuring VE/PE/E Transactions V-1
e0087035_711791.jpg第5回目のテーマは、Buyoutのストラクチャリングについて。私がよく仕事でやっていた分野であることもあり、いつもより細かめに2回に分けて連載します(注:日本法の場合でも当てはまる点が多いですが、他の回と同様このまとめはアメリカ法がベースですので日本法の場合とは異なります。)。

Buyoutは取引の内容としては買収(Acquisition)とファイナンス(Debt Financing/Equity Financing)の組み合わせの取引であり、対象会社によって分類すると、①大会社の子会社又は一部門を買収する場合、②非公開会社を買収する場合、③公開会社を買収する場合の3通りがありうる。

今回は①の大会社の子会社又は一部門を買収する場合について

買収に関連する事項


(1) 買収価格(Purchase Price)

名目買収価格の合意があったとしも、次の段階として以下の条件の決定が必要。
 ・現金での支払額
 ・NewcoのDebt・優先株での支払額
 ・買収価格調整(Purchase Price Adjustment)-調整で反映する内容と金額の決定方法→この買収価格調整の仕組みを入れない場合は、コベナントにおいてクロージングまでの対象会社による配当禁止やOrdinary course of businessでの営業の規定を入れることが望ましい。

(2)表明保証(Representations and Warranties)

①表明保証には主に4つの意味がある。
 ・買収価格と契約条件を決定するための基本情報の開示
 ・レンダーへの表明保証のバックアップ
 ・クロージング前のディールのCall offの保証
 ・事後的な損害賠償と極端な場合はディールの取り消しの保証

②別紙(Disclosure Schedule)において例外事項を規定する。→場合によっては補償条項(Indemnification)で再度リスクを売主に戻す。

③主な交渉の焦点は以下の通り。
 ・Knowledge qualifierとMateriality standardをどの程度入れるか
 ・クロージング後の有効期間(Survival period)-Tax、潜在債務、環境責任のみは長めに設定することが多い。
 ・バスケット条項(控除額(deductible)か最低限度額(minimum threshold))
 ・最高限度額(Cap,Ceiling)―具体額又は買収価格の一定割合。good title, taxes, covenant breachは例外とすることが多い。
 ・担保―買収価格の一部のエスクロウ、売主による保証・担保の差し入れ、Seller paperとの相殺等

(3)クロージングの条件

買主が求める主なクロージングの条件は以下の通り
 ・Newcoのファイナンスの失敗(Financing out)
 ・Due diligenceの結果に基づくクロージングの中止(Due diligence out)
 ・許認可の取得の失敗(FTCによるHart-Scott-Rodino antitrust clearanceなど)
 ・第三者の同意の取得の失敗
 ・対象会社のビジネスについてのMaterial adverse change(MAC Clause)

(4)Transition Service

買収後一定の合理的な期間売主に一時的に一定のサービス(IT関連、従業員の給料・厚生関係事務、保険事務、アカウンティング等)の継続を求める契約を合わせて締結することが多い。

(5) 取引の形態

①Asset Sale→(i)相手方の同意が必要な契約、政府の承認が必要な許認可、不動産・自動車・知財等登録が必要なものなどがあり手続きが大変。(ii)州によっては、動産にSales taxがかかる。また不動産譲渡税がかかることもある。(iii)比較的完全なreal estate title insuranceが取れる。(iv)組合契約はAsset saleでも拘束されることがあるので、いずれにしても組合との交渉が必要。

②Stock sale又はReverse subsidiary merger→(i)と(ii)についてはChange in controlの規定がない限りの必要はない。(iii)real estate title insuranceについてはSpecial endorsementを取ることができる。(iv)組合契約は引き継ぐ。

(6)Hart-Scott Rodino Antitrust

取引のサイズが$213.2M以上などの場合にはExemptionに該当しない限りFilingの義務が発生。Waiting periodは通常30日間。

(7)対象会社の潜在債務の遮断

①Asset sale→契約で債務を引き継がないとしても法律上引き継いでしまう場合あり(Bulk sale act、De fact merger and successor liability doctrineなど)。そこで、売主にIndemnificationを求めることになるが売主が健全でないと意味がない。
②Stock sale又はReverse Subsidiary Merger→債務をすべて引き継いでしまうので売主にIndemnificationを求めることになるが、売主が健全でないと意味がない。

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by ilovemascarponeR | 2006-05-01 06:38 | Law
Structuring VE/PE/E Transactions IV
第4回目のテーマは、Growth-Equity Investment(ビジネスの拡大を図る既存の会社への投資)のストラクチャリングについて。

Start-up Transactionとの比較におけるGrowth-Equity Investmentの特徴

視点1 対象会社は既にビジネスを行っている。
    ↓
①徹底的な法務・会計Due Diligence(DD)が必要となる。またその結果に基づき最終契約においてPEと対象会社の旧株主の間で潜在債務のリスクをどのように分担するかを定める必要がある。
②既にキャッシュ・フローがあるのでPEの保有するDebt・優先株から早期にキャッシュ・フローが得られる可能性が高い。

視点2 対象会社には既存株主がおり、マネジメントも強い。
    ↓
①対象会社の既存株主が既に多額の出資をしているので、PEの出資持分は小さくなる。
②PEは取締役会において少数派となるかかオブザーバーとしての権利しか持てないことが多い。
    ↓
③PEとしてはStart-up Investmentの場合よりも多額の投資をするにもかかわらず、投資後はあまり対象会社の日常業務に関わりを持たないことになる。
④そこで、Default remedyが重要となる。具体的には、Default時には取締役会の支配権がPEに移る権利や優先株・Debtの早期償還条項など。
⑤Exit Strategyに関しても予めPEの権利をきちんと確定しておくことが必要。
 ・特にIPOの可能性が高いのでRegistration rightをきちんと確保しておくことが重要。
 ・PEの会社強制売却権、PE保有株のプット・オプション、マネジメント株主による株売却の場合のPEのTag-along rightなども規定しておくべき。
 ・Right of First Refusal(RFR)はPEが買主を見つけるにあたって萎縮効果があるのでなるべく避けるべき。どうしても入れる必要がある場合にはRight of First Offer(RFO)の方が萎縮効果が小さい。
 ※RFR=第三者からPE保有株買取のオファーがあった場合、対象会社が同様の条件でこれを購入できる権利。
 ※RFO=PEが対象会社株を売りたい場合にまず対象会社に期間制限付きでオファーをし、対象会社がおフォーに応じない場合にはPEが同額又はより高値でこれを第三者に売ることができる権利。

PEの希望を実現するスキーム

PEが既存の会社に投資する場合に求める条件は以下の通り。
(1)Passive non-management shareholdersの普通株の持分を減らす(優先株やDebtに置き換え)
(2)Active management shareholdersの普通株の持分を増やす
(3)PEは、相当数の普通株の持分(+優先株か劣後債)がほしい

これを実現するスキームとしては、①株式消却(Redemption)、②リキャピタリゼーション(Recapitalization)、③株式配当と持ち株会社設立の組み合わせ、などが考えられる。

株式消却を利用するスキーム

対象会社のPassive shareholdersの保有する普通株を劣後債を対価として消却するスキーム。株式消却と同時又はその直後に、重要なマネジメントに対して追加の普通株又はオプションを発行する。このインセンティブの効果は、普通株の総数が株式消却で減った分株式消却前よりも高くなっている。

このスキームを採用した場合、以下のような租税上の効果が発生する。
 ① 株式消却により、対象会社のPassive Shareholderはキャピタル・ゲイン(CG)を認識する。
 ② このCGについては、installment method reportingが可能(453条)。この場合、CGは繰り延べされ、元本額を受け取るごとにその割合ずつ消却額のCGが認識されることになる。この場合、年間5Mを超えた分は、IRSに対して繰り延べられた税金分の利息の支払義務が生じる。
 ③一定の場合には、株式消却が上記のようにSaleではなく、DividendとRecharacterizeされることがある。Recharacterizationのリスクは、消却後の旧株主の普通株の持株割合が大幅に減少する場合は小さくなる。
 ④対象会社は、社債について発生する利息を控除できる。

リキャピタリゼーションを利用するスキーム

対象会社のPassive shareholdersが、その保有する普通株を優先株に交換するスキーム。

このスキームを採用した場合、以下のような租税上の効果が発生する。
 ①新たに発行する優先株が非適格優先株に該当しない限り、368(a)(1)(E)のTax-free recapitalizationに該当する。なお、非適格優先株に該当すると、新優先株のFVに相当するGainを認識することになる。
 ②新優先株のBasisは旧普通株のBasisと同じ(358(a))
 ③新優先株保有後に株主が死亡した場合は、相続人の元でのBasisは死亡時のFVとなる(Step-up basis、1014(a))。
 ④新優先株に基づく配当については会社にDeductionは認められない。
 ⑤新優先株の分配が配当に近い形式である場合には、306-taintedになる可能性がある。306-taintedになると、将来株主が優先株を売却したときに、原則としてCGではなくて配当として課税されることになる。
 ⑥将来優先株を消却する場合に、302条により配当と扱われる場合がありうる。
 ⑦5Mを超える優先株を受け取った者も、IRSにDeferred taxに関する利息を払う必要はない(Installment method noteとは違う)
 ⑧優先株の発行価格が、その清算・消却価格を下回る場合には、Preferred OIDが存在することにある。これは配当として保有期間中に課税される。

株式配当と持ち株会社設立の組み合わせを利用するスキーム

対象会社が既存株主にプロ・ラタで優先株を発行し、その後、PE、マネジメント、Passive shareholderが25%,50%,25%の割合で保有するNewcoが対象会社の普通株を買い取り、対価としてNewco株を配分するというスキーム。

このスキームを採用した場合、以下のような租税上の効果が発生する。

(1) 株式配当

 ①プロ・ラタでの株式配当はTax Free。
 ②新優先株のFVがその清算・消却価値を下回る場合はPreferred OIDが存在することになる。よって、将来にわたって、Imputed dividend incomeを認識することになる。
 ③タックス・フリーの株式配当得られた優先株は、通常306 tainted.よって、将来これを売却又は消却するとCGではなく、配当として認識されることになる。
 ④新優先株の保有者が死亡した場合、相続人はStep-up basisを享受でき、また306 taintはEliminateされる。
 ⑤普通株を引き続き保有している場合には将来新優先株を売却する際に、302条が適用されるリスクが若干ある。

(2) 持株会社への普通株譲渡

 ①対象会社の旧普通株主にとっては、351(a)に基づくタックス・フリー取引に該当する。また、Newcoにとっても1032条によりタックス・フリー取引となる。
 ②対象会社の旧普通株主は、Newco株についてSubstituted basisを取得する。
 ③Newcoの費用を対象会社の利益で控除するために、両者はConsolidated federal tax returnを出すのが望ましい(但しそのための資本関係上の要件を充たす必要あり)。
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by ilovemascarponeR | 2006-04-24 09:59 | Law
Structuring VC/PE/E Transaction III
第三回目のテーマは、NewcoをFlow-through Entity(①S Corporation、②パートナーシップ、又は③LLC)として組成する場合の法律・租税関係について。

各ビークルの総論及び有限責任性

(1) S Corporation

S Corpとは、州法を根拠法して設立されたCorporationのうち、設立後にIRSへのファイリングにより、Internal Revenue CodeのSubchapter Sにより課税されることを選択した会社をいう。

S CorpもC Corp(S Corp selectionをしていないCorporation)と同様、株主は原則として有限責任を享受できる。

(2) パートナーシップ

パートナーシップは、州法・外国法を根拠法として作られる。General Partnership(一般的にFilingが不要)とLimited Partnership(一般的にFilingが必要)がある。

GP、LPいずれの場合も、Corporationのような有限責任性を達成するには以下のような若干の工夫が必要となる。

①GPの有限責任性の達成

GPは、基本的には無限責任なので、これを避けるには次の二通りのスキームが考えられる。
  (i)有限責任法人を間に挟む―LLCかS CorpをGPとして本来GPになるだったはずの者はそのLLCかS Corpの100%保有者になる。
  (ii)LLP(Limited liability partnership)になることを選択する。
    →ただし、これによって有限責任をほぼ満足できる程度に達成できるのは46州のみ。カリフォルニア等では不十分。

②LPの有限責任性の達成

LPでVCであるような場合、パートナーシップを支配しているとしてLPでもGPとみなされてしまう可能性がある。この点、1985年版UCLP(98年まで全州で採択済み)では、Safe Harbor Ruleが設けられており、さらに2001年版UCLPではこのみなしGP制度は廃止されている。

(3) LLC

LLCは州法を根拠法として作られる。連邦租税法上はパートナーシップのように扱われ、それ以外の点ではCorporationのように扱われる。97年までに全州でLLC法が採用され、特に97年のIRSのCheck-the-box Regulationにより、LLCが簡単に連邦租税法上パートナーシップと同様に扱われることができるようになった。

LLCのメンバーは制限責任である。→よって、パートナーシップの場合のようにパートナーの有限責任性を達成するために複雑なストラクチャーを作る必要がない。

なお、LLCについてはまだ判例法が積み重なっていないので、権利義務関係に若干不明確な部分が残っている点は否定できない。

各ビークルの連邦租税法上の取扱い

(1) Flow-throw Entity(S Corp/Partnership/LLC)をC Corporationと比較したときの特徴

・法人レベルでの課税はなく、Equity holderにFlow-throughする。よって、Equity holderに適用される税率(個人の場合、OIは35%、LTCGは15%、法人の場合はいずれも35%)が適用される。

・Newcoは、Equity holderに対して、持分保有から生じる税額に相当する金額を分配するのが一般的。少数Equity holderの場合は、Newcoとの間でMandatory distribution agreementを締結しておくのが望ましい。

・損失も株主にFlow-throughするが、これを控除するには色々制約がある。

・NewcoがEquity holderに利益配当しても配当額についてさらに課税は発生しない。

・Equity holderのNewco持分のBasisは変動する。「Newco持分のBasis=当初のコスト+株主の追加出資額+NewcoのTaxable Income-株主に配当された額-NewcoのTaxable Loss」。よって、Equity holderが株式を売却してもAccumulated gainについて再度課税されることはない。

・Equity holderが当初からのEquity holderで持株割合に変動がなかった場合は、そのEquity holderのNewco持分のBasisは清算における分配額と同じなので、清算に際してさらにGain/Lossを認識することがない。よって、アセット・セールを使ったExitの場合、株主と法人の二重の課税関係を避けつつStep up basisを実現できる。
  ※これに対して、C Corpの場合には、まず法人レベルでアセット・セールのGainが認識され、さらにC Corpの清算にあたって、株主レベルでさらに清算金(税引き後のアセット・セールから得られた代金額)についてGain(通常LTCG)が認識されるので、二重の課税が発生する)。
  ※パートナーシップ・LLCの場合には、もう1つ別の方法として、全パートナー・メンバーの持分を譲渡することでも、Double income taxを避けつつAsset SUBを実現できる。(IRSは買主はAsset saleで資産を買ったものとみなし、他方売主はPartnership interestを譲渡したものとみなすので)

(2) S Corpとパートナーシップ・LLCとの比較

・S Corpは株主について制限がある。他方、パートナーシップ・LLCの場合には"Publicly traded"されていてはならないという以外にこのような制限はない。
 (i)S Corpの株主の数は、100人以内でなければならない。
 (ii)S Corpの株主は、USの個人でなけれならない。
 →従って、Corporation、P、LLCはS Corpの株主にはなれない。
 →VCがこれらの場合には、①債権者又はNewco株を取得する権利(ワラント・転換権)の保有者になるという方法、②S Corpがその下に新たにパートナーシップ又はLLCをつくり、そこにS CorpのビジネスとアセットをDrop downし、そこにVCが投資をするという方法が考えられる。

・S Corpは1クラスの普通株しか発行できない(ただし、議決権が異なるものは出すことができる。他方、パートナーシップ・LLCの場合は、複数クラスの持分を発行することが可能。

・S Corpは368条のTax-free reorganizationを利用できる。他方、パートナーシップ、LLCは不可。

・S CorpのService Providerは、83条の適用に当たり、株式のFVが参照される。他方、パートナーシップ・LLCの場合は清算価値が参照される。

・S Corpの場合、Entityレベルでの負債は、S Corp株主が保有しているS Corp株式のOutside Basisに影響を与えない。他方、パートナーシップ・LLCの場合は、Entityの負債が増えると、Equity ownerのOutside Basisは上がり、Entityの負債が減るとEquity ownerのOutside Basisは下がる。

・S Corpの場合、一定の場合にCorporate-level penalty taxが課されることがある(二重課税の回避の例外)。他方、パートナーシップ・LLCの場合いは、Corporate-level penalty taxは存在しない。

・S Corpの場合、含み益を有する資産を株主に分配すると、株主レベルでGainを認識する。他方、パートナーシップ・LLCの場合、Newcoは含み益を有する資産を何らGainの認識なく(Entityレベルでもパートナーレベルでも)パートナー・メンバーに分配できる。

・パートナーシップ・LLCの場合、IPOに当たってIncorporateすることが必要(なお、Incorporateしなくても持分がPublicly tradedされるようになるとIncorporateしたものとみなされる。)。IncorporationはNegative tax basisを持っていたPartner(損失が投資を上回ってマイナスになっていたパートナー)にGainを生じさせる。

・S Corpよりも、パートナーシップ・LLCの方が、VCとEの間での利益、損失、資産の分配に関してより柔軟な制度設計が可能。
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by ilovemascarponeR | 2006-04-18 09:02 | Law
Structuring VC/PE/E Transactions II
第二回目のテーマは、Start-Up TransactionにおけるNewcoをどのように組成するべきかについて。

すべて普通株でスキームした場合の問題点

VCが1Mの出資をして40%の普通株を取得し、Eが経験や将来のサービスを出資して60%の普通株を取得するというスキーム
→このスキームには以下の7つの問題点がある。

問題点① Code 83(a) によるEに対するAdverse Tax Effect

・83(a)=A service provider receiving “property” in connection with the performance of services recognizes OI equal to the property’s FV less the amount paid for the property
・よって、Eは、低いLTCGレート(最大15%)ではなく、高いOIレート(最大35%)で税金を払うことになり、また株式を譲渡するときではなく株式の発行時(=税金を払う原資がない時期)に課税されることになってしまう。

問題点② NewCoの事業が失敗してVCの1Mを使い切る前に清算することになった場合、VCは自分が投資した1Mに対するPreferenceを確保できない。

問題点③ NewCoの事業が成功した場合、VCは自分が投資した1MについてはPreferenceを確保し、残りの利益についてEとShareしたい。

問題点④ このスキームでは、VCの投資した1Mから発生する利息相当額について、NewCoレベルでのDeductが全くできなくなる。

問題点⑤ 投資の全額を負担しているVCとしては、通常NewCoの普通株40%以上から得られる以上のIRRが欲しい。

問題点⑥ VCとしてはEにもある程度のGood-faith investmentをして欲しい。

問題点⑦ Eが保有する株式については、一定期間の投資の継続とプロジェクトの成功を条件としたVestingにかからせたい。

(代替案1)Non-Convertible Debt&Preferred Stockを使ったスキーム

VEが劣後債500K+優先株440K+普通株60株(1株あたり1000ドル)を出資し、Eが普通株40株(1株あたり1000ドル)を出資するというスキーム

<このストラクチャーのメリット>

①VCは940Kについてシニアな権利を保有。
②NewcoはDebtの利息について控除ができる。
③VCはReturn of capital treatmentが可能(Code 302のdividend treatmentsを回避できる)
④Eも投資をしているので、EがWalk awayする可能性が小さくなる。
⑤Eも1株あたり1000ドル支払っているので83(a)OIリスクは小さい(但ししゼロではない)。

・このスキームですべてDebtにせず優先株を入れるのは、DER(Debt Equity Ratio)が高くなりすぎないようにするため(高くなりすぎると租税上の取り扱いとして、DebtがDebtであるとみなされなくなってしまうことがある)

・Eが支払ためにNoteを使う場合には、単に株式を購入するOptionを持っているだけだとみなされないために原則としてFull (or at least partial) recourseであるべき。

<Vesting>

・Vesting=Newco又はVCに原価での買戻しをするオプションを付与すること。Time vestとPerformance vestの2通りがある。
・Golden parachute tax penaltiesの関係上、Newcoの売却以前にVestingが完了するようにストラクチャーするのが望ましい。
・83(a)は、propertyがvestingに服する場合には、82(b)のElectionをしない限り、OIの認識と算定をvestingの時点まで延期する旨規定。この適用があると、Newcoが成功している場合にはVestingするとOIが高額になってしまい、その上Eは税金を払う原資がない(Newcoの売却前なので)という困った状況に陥る。

(代替案2)Convertile Debt or Preferred Stock

VCがConvertible debt又はconvertible優先株(普通株60株に転換可能)を1M出資し、Eが普通株40株(1株あたり1000)を出資するというスキーム

<このスキームの問題点>

①VCは1Mのシニア・ポジションか60株の普通株のどちらかしか得られない。(⇔代替案1では、VCは940Kのシニア・ポジションと60株の普通株の両方を手に入れることができた)
②VCは普通株1株あたり16,667払っていることになるので、Eに83(a)OIリスクが発生する。

(代替案3) Participating Preferred Stock


VCはParticipating Preferred stock(with 60 common share participation)を1M出資し、Eは普通株40株(1株あたり1000)を出資

<このスキームのメリット>

VCは1Mの優先権に加えて、Common-stock-like participation in residual proceedsを持っていることになる。

Newcoの取締役会の構成

・Voting agreement、Voting trustなどの手段を活用することができるので、出資比率と取締役会における座席数が比例する必要はない。
・ありうるスキームとしては、①Eから1人、VCから1人、EとVC共同で(又は両者が指定する第三者から)1人を指名。②最初はEから2人、VCから1人を指名するが、重要事項についてVCに拒否権を付与し、かつE指名の取締役のもとでの業績が悪い場合にはVCが2人を指名できるようになるという条件をつける。

Exitに関する権利の規定

よく定められる規定は以下の通り。

・3年以内はNewcoのIPO/SaleについてEとVCがそれぞれ拒否権を持つ。3年経過後は、VCはNewcoにIPO/Saleを要求する権利があるが、この要求に対してEはFMVでVCの保有するNewco株を購入することができる。
・VCがバイヤーを見つけた場合、Eは株主総会で賛成票を投じる。
・VCがバイヤーを見つけた場合、VCにDrag-along right(EにEの株も売れと言える)、EにTag-along right(EはEの株も売れと言える)を認める。
・Eがバイヤーを見つけた場合、VCにTag-along right(VCはVCの株も売れと言える)を認める。

SEC Compliance

①33年証取法上の開示規制に該当すると、時間と費用がかかる上Newcoのゲームプランを公開してしまうことになって不都合なので、開示規制の例外規定(Rule 701、Section 4(2)、Reg D、Reg S、RegAなど)に該当するようストラクチャーする必要がある。

②譲渡制限株式(Rule 701, Section 4(2), Reg D)に該当する場合は、
・Contractual registration rightsを取っておくべき。
・ただし、譲渡制限株式のままでもRule 144で転売することは可能。

③Blue sky law(州法)では連邦法と違う条件が課されている場合があるので、州法も確認する必要がある。
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by ilovemascarponeR | 2006-04-04 17:33 | Law
Structuring VC/PE/E Transactions I
Structuring Venture Capital, Private Equity and Entrepreneurial Transactions(それにしても長いコース名だ・・)の授業の最初のトピックは、VC/PE/E Transactionの概観。自分なりにかみくだいポイントは以下の通り。

VE/PEとEntreprenerの間の交渉のポイント
 
究極的には①Powerと②Moneyをどう配分するかに尽きる。

他の投資形態との比較におけるPE/VCの特徴
 
①プロフェッショナルによる投資先への積極的な関与
②一定年数に限られた保有
③少数者による非公開の保有
④スーパー・ハイ・リターンの期待
⑤優秀なマネジメント・チームの存在又は確保を前提とした投資
⑥コントロール又は少なくとも取締役の地位の獲得

典型的なPE/VC取引

Start-up Transaction

・プロのVCとビジネスを始めようとしているEntrepreneursとの間の交渉から始まる取引。
・Seed money Investment(利益を上げる前の段階で投資する場合)と、Early-stage Investment(実際の利益を上げる準備ができているか実際に上げ始めた段階で投資する場合)に分けられる。
 
Growth Equity Transaction

・Expansionのための資金を求めている企業への投資

Turn-Around Investment

・損失を計上していたりOver-leveragedであるなどの財政上・ビジネス上の困難を抱えている会社への投資

LBO/MBO

・LBOのエッセンスは、NewCoのみが借入債務を負うこと(PE/VCの保証がない)
・PEが受け皿会社としてのNewCoをつくり、NewCoへのFinancingのアレンジをし、PEは小額のEquity投資をするというのが典型的なパターン。
・借入は通常複数のトランシェで構成され、劣後貸付人ほど高率の利息又はEquity Kicker(普通株又はその代替物)を取得することに。
・PE-ledなものがLBO、Management-ledなものがMBO
・Buyoutには、(i)大会社の一部門又は子会社を買うもの、(ii)家族又は少人数経営の会社を買うもの、(iii)公開会社を買うもの、(iv)”recap” accountingの利益を得るためのもの、の4通りがある。

Industry Consolidation

・中小企業のみで業界のリーダーが存在しない場合にリーダーとなる企業を作るための投資

出口戦略

・Exitが目的なので初期投資の段階でPE/VCのExitについての権利を確保するべく、これらの権利が契約書中に明記される。
・Exitの方法としては、(i)IPO、post-IPO Registration又は私募による株式売却、(ii)大会社への売却、(iii)対象会社による自己株取得などがある。

PE/VE/Buyout Fundの組成


・Entity levelでの課税を避けるためにパートナーシップ・LLCを使って組成するのが一般的。
・利益は、20%を利息としてPE/VCへ、残りをPE/VCと出資者の間で出資比率に応じて按分するのが一般的。
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by ilovemascarponeR | 2006-03-28 12:51 | Law
2006/3/27 Spring Quarter has begun
今日から春学期がスタート。なんとなくうきうきとする一方、今学期は卒業も控えて後半になるほど厳しいスケジュールになっているので、やっぱり「余裕の留学生活」とはいかなそうだ。

秋学期と冬学期はアメリカ・ビジネス法の基礎的な授業を中心に取っていたのだが、今学期は集大成の学期ということで専門分野に特化した授業を取る方針。

ということで今学期取ることが固まった授業は、①Structuring Venture Capital, Private Equity, and Entrepreneurial Transactions(カークランドアンドエリスのシニアパートナーであるLevin教授)、②Corporate Governance(Bernstain教授)、③Taxation of Corporation II(M&A and Reorganization Taxation、Isenberg教授)。授業内容は以前に紹介したとおりである。

今学期は授業又はその予習で勉強した内容で役に立ちそうなものを、少しブログに残しておこうと思う。テキストやPPTに記載されている事項をあまり詳細に書くと著作権との関係で問題になるので悩ましいのですが、自分なりにかみくだいた内容を盛り込んだり、著作権侵害にならない程度でやってみたいと思います。
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by ilovemascarponeR | 2006-03-27 12:24 | Law
2005/12/13 Sidley Austin Brown & Wood
e0087035_1247083.jpg今日は、現在Sidley Austin Brown & Woodのシカゴ・オフィスで研修中の日本人のOさんに、同オフィスの案内をしていただいた。Sidleyは、弁護士総数1500人超。アジアにもシンガポール、香港、北京、上海、東京にオフィスを持つ全米有数のInternational Law Firmである。シカゴはそのHeadquarterで弁護士が350名程。シカゴ大とのつながりは深いようで、先学期にSecured Transactionsを担当していたPicker教授も、Sidleyのアソシエイトだったという経歴を持つ。私のいた東京の法律事務所はたかだか弁護士230人(もちろん支店などはなくそれで全部)なので、規模の違いはお話にならない。最近新しいビルに移転したばかりとあって、オフィスはとっても豪華。アジア担当のトップのパートナーの方のお話を伺ったが、非常に愛想のよい方で、JDでもロースクールの勉強は大変なんだから、International Studentsはさぞかし大変だろうね、とねぎらってくれた。

e0087035_1494986.jpg執務スペース、会議室などを見学した後、旧オフィスビルの上の会員制クラブでDinnerをご馳走いただき、おみやげにロゴ入りマグカップ・メモ帳、さらに「Corporate Finance and the Securities Laws Second Edition」の本まで頂いてしまった。e0087035_16514430.jpgさすがアメリカのローファーム、太っ腹です。毎年100人の新人弁護士を教育しており、余り事務所を辞める人も多くないとのこと。家で仕事をしている人も多く、夕方5-6時の段階でほとんどオフィスに人がいなくなっているあたりも、日本の法律事務所に比べるとはるかに余裕のある生活を送っていそう。まだまだアメリカの法律事務所から学べることはたくさんありそうだ。
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by ilovemascarponeR | 2005-12-13 12:45 | Law
2005/11/20 Columbia
e0087035_14411749.jpgこの週末は、某英語の雑誌に投稿する新会社法についての論文を書くために、久しぶりに日本法漬けになっている。

ただ、それだけでは面白くないので、Mikeさんのblogでも紹介されている、Columbia大学のMilhaupt教授による"In the Shadow of Delaware? The Rise of Hostile Takeovers in Japan"にざっと目を通してみた。

日本の実例に基づいてコーポレートガバナンスのモデルを比較法的に検討しているので、特にM&Aをやっていない人が読んでもなかなか面白いだろうう。シカゴでの学校の授業はまだM&Aにまで到達していないので、到達してからDelaware法との比較の部分をもう一度ちゃんと読んでみようと思っている。それにしても、日本の状況についてこんなに研究している教授がいるというのはさすがコロンビア。以前友人に会いにコロンビアの図書館に行き、山のような日本の法律関係の蔵書があったのを思い出した(右下写真)。

e0087035_14422762.jpg本筋とは関係がないけれど、UFJ・住友の件とライブドアの件を挙げて、前書きにこんなことが書かれているのは相変わらず悲しい(「アメリカの1980年代と比べても平凡で退屈」とまで言わなくても・・)。事実なのでまあ仕方がないか。

To a sophisticated American reader, these transactions may sound rather unremarkable, even prosaic, particularly as compared to U.S. deal activity in the 1980s.
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by ilovemascarponeR | 2005-11-19 14:21 | Law