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Quality of Life
e0087035_11284161.jpg私がどっぷりつかっている案件のうち3件の山場が近づいている。昨日頼まれた小さな案件のクロージングが来週火曜日、のびのびになっていた中くらいの案件のサイニングが来週後半、そして、再来週の頭からNYに出張して大きな案件のクロージング。

もし同じことが日本で起こっていたら、これは世に言う「オワッテイル」状態である。すなわち、平日も週末もなくオフィスで朝日を見ることになり、睡眠不足とプレッシャーで慢性胃炎をはじめ体調が悪化し、リポビタンDへの依存症状が出て、精神的にも病んできて職業選択を間違えた自分を呪いつつ人生における幸せとは何かを考えることになる。

ところが、アメリカではなぜかそうならない。確かに忙しいは忙しいのだが、今日は夜7時半から知人と飲みに行ってもう家にいる(他のチームメンバーも同様)し、相変わらず「健康」だ。将来日本に帰ったときに昔と同じ状態にはまらないためにも、これはその理由を分析する必要があると思い、帰り道にちょっと考えてみた。

1 マンパワーの違い. 上の大きな案件では、相当数の人数が関与している。この件では私はFinanceチームなのだが、Financeチームだけでパートナー1人・アソシエイトが私入れて2人・パラリーガルが1人いる。同じことをやるのに日本では1人か2人でもおかしくないのだが、これは相当な違いだろう。また、以前から書いているように、対象会社や依頼者にもたくさん社内弁護士がいるので、彼らと分担することにより、かなり仕事の量が減ることになる。

2 夜や休日に関するカルチャーの違い. アメリカ人も本人達は夜や休日を犠牲にして働いているつもりになっているようだが、日本人から見れば、あまあまである。日本では1週間は7日間あると考えている人も多いが、アメリカではあくまでも1週間は5営業日である。休日や夜も仕事はするがあくまでExtraでやっているのであり、それが当然ではない。これは依頼者や関係者も同じで、夜や週末には「誰も好き好んで働かない。」ので、いくら案件がてんぱっていても夜や週末は静かになり、きちんと疲れを取ったり家族と過ごしたりすることができる。

3 あきらめが早い?. 普通に平日にがんばってできないことは「不可能」であると誰もがあっさりと認めるので、これは無理だからポスト・クロージングにやろう、とか、デューディリジェンスも与えられた時間で普通にやってできる範囲でやれば十分、などと、みなあきらめが早い。間違っても睡眠時間を削って徹夜で交渉したりすることはなく、意外とすぐ合意ができる。交渉の文化=妥協の文化であり、妥協というものをよく知っている(というか、週末働くくらいなら妥協してしまう)。

4 フォームとマーケットが支配. なんでもサンプルやフォームがふんだんにあるので、一から作らなくてはならないものが少ない。しかも、「マーケット」という世の中で一般的な交渉の落しどころのようなものがあって、それに関する資料も豊富なので、マーケットと同じならまあいいか、と合意に至りやすい。

5 みな心に余裕がある. 上に書いたことと関連するが、上のような状態なので、弁護士も依頼者も関係者もみなそれほどストレスがたまっておらず、比較的心に余裕がある。ということは人にやさしくできるということであり、とげとげすることもない。日本ではM&Aと言えば一生に一度の大事かも知れないがこちらでは日常茶飯事。株主代表訴訟を起こされることも普通であり、訴訟を起こされたり何かとんでもないことが発覚してクロージングができなかったりしても、別に担当者の個人責任にされるわけでは(たぶん)ない。

・・・こう考えてみると、文化や環境が根本的に違うのであり、私一人が心の持ちようを変えたところで、日本に帰ったら元に戻ってしまうような気がしますねえ。

(写真:Federal Reserve Bank of Boston
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by ilovemascarponeR | 2007-05-11 11:16 | Law Firm Life
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