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NY Bar Exam
もうしばらく前のことだが、無事NY Bar Examに合格することができた。NY州弁護士になるためには、まだAlbanyで面接を受け宣誓をしてこないといけないのだが、この1年間の大きなイベントであったわりにはブログで今までほとんど触れなかったので、一応書いておこうと思う。

シカゴ大では5月末まで3学期目の期末試験があるので、もともと短いと言われている勉強期間はますます短く、本当に丸2ヶ月しかない。しかも、学校の期末試験で疲れているところに休む間もなくBarの準備に入らないといけないし、そもそも期末試験期間中にBarBriの講義が始まってしまうので、日によっては朝に期末試験を受けて夜にBar Briの講義を受ける、という過酷なスタートになる。さらに試験の数日前にはシカゴからNYに移動してホテル暮らしになるので、その段階では最後の知識の詰め込みくらいしか実質的にはできない。そういうことを考えると、ちゃんと勉強できる期間は2ヶ月もない。また、私はLaw SchoolでBar Examの科目を試験ではかなり比重の小さいCorporationとSecured Transactionしかとっていなかったので、試験科目はほとんどが新しい科目だった。

そんなわけで、もともと予想はしていたが、久しぶりに胃が痛くなった、怒涛のそして最悪の2ヶ月間だった。

NYにいれば代々日本人も多くて情報も色々入ってくるのだが、シカゴ辺りの情報過疎地にいると各種のブログやWebsiteで情報を集めるしかないのが実際のところ。勉強法などは、「NY Bar Exam」でググればとても参考になるサイトが色々と出てくるのであえてここで中途半端なものを書く必要もないと思うのだが、自分で勉強してみて「聞いていた話と違うなー」という点が結構あったので、何かの参考になれば程度に、NY Bar Examについてのよくある誤解について書いておこうと思う。

1 NY Bar Examは簡単?

NY Barは日本人弁護士にとっては簡単だという巷の噂があるが、それはNY Barの合格点が低く、また司法試験合格者数が500人とかでもともとむちゃくちゃ頭のいい人でなければ弁護士になっていない時代の話であって、最近は普通に勉強していながら落ちている人も結構多い(NY Bar Boardによると、外国人の初回受験者の合格率は、45.2%だそうだ)。またひとたび受かってのど元を過ぎてしまうと、「簡単だよ」というのは簡単である。もちろん日本の司法試験に比べたらはるかに楽なのだが、それは問題が簡単だからではなく、単に合格点が低いからであって、勉強時間の短さを考えると特にMBEやNY Multiの問題などはかなり難しいと思う。よって、いくら2ヶ月間知恵熱が出るくらい必死に勉強しても、さっぱり受かる自信は湧いてこず、精神的には相当きつい。

2 NY Barは英語の試験?

もちろんそれなりに英語ができなければ話にならないのではあるが、ロースクールに留学して普通にやっていけているような人であれば、英語力はさほど関係ないという印象だった。MBEなどは6時間で解き終わる練習をしなければならないが、これもどれだけ集中力を高めて読み飛ばすか、という試験テクニックの話であって、よく考えると日本の択一試験でやっていたのと同じことである(よって、普通で考えると2ヶ月で英語力が急に上がるわけはないのだが、練習すればするほど解くのが早くなる)。というわけで、「NY BarはTOEFLの延長だ。」などというものではないと思う。もちろん、JDの方がMBEを解くスピードは圧倒的に早いが、それは読むスピードガ早いのに加えて、彼らは3年間試験科目をLaw Schoolで勉強しているので長文の問題文を見ても「ああ、あの判例の話だ。」とピンと来て、読み流せるかららしい。LLMはそういうわけにはいかないので、問題演習をたくさんやってこの問題パターンを本番までにどれだけ頭に入れられるか、ということが重要になるのだろう。ということで、英語ができれば当然受かるものでも、英語ができなければ受からないわけでもなく、どれだけ短期間で山のような知識とテクニックを峻別して詰め込むかという純粋な受験テクニックが求められていると言った方が正しいと思う。

3 BarBriの模試で140点?

どこかで、「日本人ならBarBriの模試で130-140点くらい取るのを目標にしましょう。」という話を聞いた記憶がある。が、まっさらの状態で5月末から勉強を始めて、BarBriの授業を全部受けながら、BarBriから配布される予習・復習スケジュールについていくべく勉強していたら、BarBriの模試で140点とるのはほとんど不可能だろう。少なくともシカゴ大のLLM生でそんな人はいなかった。他校の日本人ではたまにいるが、実は3月から勉強していたとか、ロースクールでBar Exam科目をたくさんとっていたとか、BarBriの授業には出ないで赤本・青本ばっかりやってたとか、あるいは本当にすごい一部の人、くらいである。私は、BarBriの模試はそもそも6時間にわたって集中力を保つことすら困難で、点もたかだか105点だった(周りのドイツ人、イタリア人、中国人もそんなものだった)が、本番のRaw Scoreは144点だった(←なお、受験していたときの感覚ではせいぜい100点)。ので、よっぽど論文が苦手でもない限り、模試ですごい点が取れなくても悲観することはないだろう。

4 日本人はMBEで点を稼ぐべき?

BarBriのIntermediateに加えてPMBRの赤本・青本2冊を解けば140点くらい簡単にとれるようになるらしいのだが、電話帳のようで開く気にもならない赤本、青本を1冊でも終わらせるのは何かほかのことを犠牲にしないとまず無理である。それに比べると、論文対策は、NYTを一冊きっちりやれば結構結果が出る。そしてNYTならまあ普通の厚さなので、BarBriのスケジュールに従っていれば何とか終わる。私は、赤本・青本をやるべきだということを結構手遅れになるまで知らなかったので、赤本を半分弱やるのが精一杯だったのだが、結果的には赤本を全部やるよりもNYTをちゃんとやってよかった、という印象だ。もちろん、赤本・青本をちゃんとやった方がMBEの点は上がったのだと思うが、MBEを120点から130点にあげるよりも、論文の点を10点上げたほうが効率的であるように思う。

5 Marinoはあたらない?

今年はあたりまくったので、いずれにしてもMarinoの予想論点は入手した方がいいだろう。論点があたったからと言ってきちんと答案が書けるわけでもないのだが、一応事前に見ておいた辺りが出ると安心する。ただ、Marinoの予想論点以外の部分の授業はかなり今ひとつで、直前期の忙しい時期には相当の時間ロスになってしまうので、予想論点をやる最後の30分-1時間だけ出るというのもいいかもしれない。ただ、Marinoは早口な上ビデオ会場だと音割れがしたりして何を言っているのかよく分からないので、私は他のLLM生と授業が終わってから何を言っていたかの確認をしました(それでもよく分からないところがたくさんありましたが)。

6 JDにとっては楽勝?(余談)

LLMに比べれば相当楽勝であることは否定できないが、彼らにとってもつらいらしい。彼らは、もともとこういう「試験」に対する耐性が低い上、万一落ちたら就職先の事務所との関係で相当恥ずかしい。確かに主要6科目は1年生のときに勉強したが、当時そんなに細かい知識を覚えたわけでもなく、そもそも2年も前のことなので結構忘れてしまっている。そして、上で書いたように問題自体が簡単なわけではないので、完璧を期そうとすればきりがなく、特に心配性のJDなどは、MiniではなくBigを読み、図書館でLLM生と同じかそれ以上くらいがんばって勉強していた。

ということで、私のおすすめとしては私みたいに5月末にまっさらの状態ではじめるのではなく、余裕のあるうちから勉強を始めておくことですが、シカゴ大では3学期目は期間も短くて忙しいのでそんな暇はあまりないと思います。そこで、シカゴ大の方と、のんびりと過ごしてしまって5月末まで何にもしなかった!というみなさんにはこの投稿が少しでも安心材料になれば幸いです。
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by ilovemascarponeR | 2006-11-30 02:40 | School Life
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