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初出勤
e0087035_8442581.jpg長かった夏休みも終り、ついに昨日から勤務開始。スーツを着るのも電車通勤も久しぶり。ボストンは狭い地域にMIT、ハーバード、ボストン大学などが密集する一大学園都市なので、これまでスーツ姿の人はあまり見かけなかった。朝7時代にFinancial Districtに向かう電車にはきっと一杯いるだろうと思っていたのだが、ふたを開けてみればやっぱりいなかった。後で分かったのだが、数年前からボストンの法律事務所でも西海岸の法律事務所の影響を受けて、最近は会議でもない限りスーツは着ないものらしい。アメリカの会社は全体的にそういう方向にあるのだろうか。9月末のボストンはもう大分寒くてシャツだけだとかなりの「クールビズ」なので、私としては上着を着たいのだが。

さて、話が脱線したが、最初の1週間はオリエンテーション・ウィークとなっており、月・火曜日は事務関連、水~金はCorporate Training Campと称して、Due Diligence, Closing, M&A, IPOなどの講義が詰まっている。

月・火の「事務関連」は各部門からのご挨拶や事務所の組織の説明、図書やITの説明、全体パーティーなど。

アメリカの法律事務所が日本の法律事務所とそんなに違うかと言われると、私がいたような企業法務専門の事務所と比べた場合は、本質的なところはほとんど変わらない。ただ、こちらの事務所の方が、細かい点でRichだなあ(金銭的な意味でなく)と感じることが多い。

①多様性(Diversity)

最初にマネージング・パートナーが挨拶した後は各コミティーの代表者からの挨拶があったのだが、そのコミティーが、Women' Forum(ほぼ半数を占める女性弁護士による委員会)、Reduced Time Advisory Commitee(子育てや介護のためにフルタイムで働けない弁護士たちの委員会。もちろんパートナーもいる。)、Attorneys of Color Group(少数派の人種に属する弁護士のための委員会)、GLBT Forum(Gay, Lesbian, Bisexual, Transexualの弁護士のための委員会)、という調子で続く。この充実ぶりに感心してしまって、肝心のアソシエイト評価委員会やアソシエイト教育委員会の話はあまり耳に入らなかった(笑)。

②所内セクハラ規定

セクハラについても1時間の講義が設けられていた。使ってはいけない単語なども色々指導され、その中には、「Avoid use of the word "guys" even in a genderless situation 」というのがあって、へーという感じであった。また、こちらでそれが一般的なのかはよく分からないが、クライアントから弁護士に対するハラスメントもUnacceptableなものとして調査と対応の対象となるそうで、サービス業でありながらきちんと言うべきことは言うという点で進んでいるなあと感心した。

③マーケティング

これまで100以上の法律事務所にマーケティングのアドバイスをしてきたコンサルタントが専属でマーケティングをやっている。そして、プロフェッショナル・ファームにおける「マーケティング」の極意は新規顧客獲得のための宣伝をすることではなくて既存のクライアントを100%まで満足させることであるという理解のもと、若い弁護士がクライアントに接する態度の教育、なども対象となっている。これはものすごく重要なことだと思うのだが、こういった研修は日本ではまだまだ行われていないだろう。

④プロボノ(社会奉仕)

日本の場合は弁護士会によって国選弁護やクレサラ対応をすることが義務いなっている程度であるが、こちらの場合は法律事務所がパートナーを筆頭に積極的にプロボノを行っている。ホームレスの援助、地域の発展援助、貧しい子供たちへの教育援助、移民の保護、など常時何十ものプログラムが係属している。これらの案件は、他のBillableな案件とまったく同様に扱われ、アソシエイトは希望に応じてパートナーからアサインを受け、通常の案件をやるのと同じ給与をもらって積極的にこれに参加することが求められる。

⑤リクルート・継続教育

弁護士教育に興味があって20年前からこれを専門にやってきた弁護士を数年前に継続教育部門のDirectorとして外部からヘッドハントしてきており、勤務時間の半分を使って弁護士教育・リクルーティングに取りくんでいるというのだからすごい。教育には、アソシエイト・パートナー間のコミュニケーションのような分野も含まれており、アソシエイトとパートナーが共同で、さらによい職場環境をつくるにはどのようにしたらよいかということを委員会を作って常時検討しているようだ。

さて、上のような分野以外では、日本と大差ないというのが実感である。特にシステム・ITの分野は日本が大分進んだということもあろうが、はっきり言ってほとんど変わらない。日本の法律事務所がもっと大きくなって余裕が出てきたときに充実させるべき課題は、上のような多様な従業員にとって働きやすい環境を作ることと、社会貢献なんだなあと思った。
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by ilovemascarponeR | 2006-09-26 08:43 | Law Firm Life
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