授業もMake-upを除けば最終週となった。いずれの科目も、最終回ではレビューセッションや過去問検討セッションなどが行われる。
そんなわけで、予習のために過去問をといてみたところ、、、解けない!
ということで、今週は各科目の過去問を順番に検討しようと思っている。そこで、ついでにどんな問題がロースクールのFinalで出題されるのかを、自分の試験勉強を兼ねて少し紹介。今日は第1回ということで、Corporate Finance(9問中の1問)。
なお、右の写真は、本文とは関係がなく、ロースクール内のKirkland Courtroomという名前のMoot Court(模擬法廷)。Kirkland氏は、シカゴに本拠地を持つ有名なLaw FirmであるKirkland & EllisのFounding Partnerである。
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<問題>
Company A has stock worth $100000and no debt. The systematic risk of the assets of the company is 0.75. The risk-free rate of return is 2% and the market rate of return is 8%. Company A borrows at the risk-free rate and repurchases 1/4 of its stock in the open market. (a)What is the value of the stock after ther repurchase and (b)what is the expected return on the stock?
<回答>
(a)Modigliani and Miller Theory(MM理論)のPropositionIによれば、Leveraged firmとUnleveraged firmのValueは同じである。Repurchase後、CompanyAは$25000をDebtとして持っているので、株式の価値は、100000-25000=75000のはずである。よって、答えは、$75000。
(b)株式のExpected ReturnはCAPMのようなAsset Pricing Modelによって決定される。まず、株式のベータを算出する。βs=βa+D/S(βaーβd)。βdはゼロと仮定できるので、βs=0.75+1/3×0.75=1。
次にCAPMのもとにおいてERを計算する。
ER=rf+β(rm-rf)=2+1(8-2)=8%
よって、答えは8%。
ただし、CAPMもMM理論もタックスの不存在、Agency costの不存在、Bankruptcy Costの不存在を前提としている。タックスが存在すると、Debtが多い方がTax ShieldのValueがあがるので株式の価値が上がる可能性がある。また、Debtが多い方がFree cash flowが減少するので、Agency costが下がる可能性がある。さらに、Debtが多い方がBankruptcyの可能性が高くなるので、Bankruptcy Costが発生する可能性があるが、この程度のD/S Ratioでは余り大きな問題とはならない。なお、CAPMは他にもHomogeneous Expectation(投資家は均一な期待を持つ)などの前提を置いている。従って、上記のVs、ERの計算には限界がある。